51 美化された青春と美化すべき今
「少年時代は毎日が冒険だった。」
最近見かけたこの言葉、強い共感を抱いた。
「確かに、あの頃特に夏休みは毎日どきどきわくわくしていたな」っと懐古する。
果たして本当にそのように感じていたのか。
思い込みとはやっかいなものである。
時に端然とある事実に対し過度な装飾を施す。
「子供の持つ豊かな感受性は日々を冒険のように感じさせる。」
という思い込みは青春を美化し改竄する。
子供であってもきらきらしていない日々はあったのだ。
夏休みにも退屈な日はあった。
大量の習い事に、関わりたくない同級生、掘り起こせば切りなど無い。
勿論、経験の少ない子供にとって初めては沢山あったと思う。
ただ、それらに毎度毎度感動していたわけではない。
まあ過去を美化し思いを馳せることはいいだろう。
私が心配しているのは美しく尊い過去と対比して
今を退屈で色あせたものと見てしまうことだ。
日々の時間の大半を占める仕事、人間関係、落ちる体力。
辛いことはあるだろう精神をすり減らすことも、それでも楽しい日もある。
大人であってもきらきらした日は存在し冒険もできる。
思い込みとはやっかいなものだ。
過去だけでなく現在も改竄している。
人間である以上思い込みからは逃げることはできないのかもしれない。
ならばかけるフィルターは考えて選んだ方が良い。